自分の体に隠された、驚きの仕組み
生まれたばかりの赤ちゃんの骨の数は約300個。大人になると約206個になります。成長とともに複数の骨が融合してくっつくため、骨の数が減っていきます。特に頭蓋骨は複数のパーツが合わさって1つになります。
脳自体には痛みを感じる神経(痛覚受容器)がありません。頭痛は脳が痛いのではなく、脳を包む膜や血管、周囲の筋肉が痛みを感じています。そのため脳外科手術では、患者が意識を保ったまま手術を行うことも可能です。
人間の心臓は1分間に約60〜100回拍動します。1日で約10万回、1年で約3600万回、80年の生涯では約30億回拍動し続けます。心臓は休むことなく動き続ける驚異的な筋肉で、生涯に送り出す血液の量は約2億リットルにもなります。
人間の目には約600〜700万個の錐体細胞があり、赤・緑・青の3種類の光を感知します。これらの組み合わせにより、約1000万色を識別できると言われています。ただし個人差があり、色覚の種類によって見える色の数は異なります。
歯の表面を覆うエナメル質は、人体の中で最も硬い組織です。モース硬度で5〜7程度あり、鉄より硬いとされています。しかし酸に弱く、虫歯菌が出す酸によって溶けてしまいます。一度失ったエナメル質は再生しません。
肺の内部には「肺胞」と呼ばれる小さな袋が約3〜5億個あり、すべて広げると約70〜100㎡(畳約40〜60枚分)の表面積になります。この広大な表面積があるからこそ、効率よく酸素と二酸化炭素を交換できます。肺胞の直径は約0.2mmと非常に小さいです。
人体には約37兆個の細胞がありますが、腸内細菌などの微生物は約38兆個存在するとされています。つまり人体を構成する細胞より微生物の方が多いのです。これらの微生物は消化・免疫・精神状態にまで影響を与えており、「第2のゲノム」とも呼ばれています。
体重に対する力の比率で見ると、人体で最も強い筋肉は顎を閉じる「咬筋」です。咬む力は平均で約70〜80kg、最大では約100kg以上になることもあります。ただし持続的な力では大腿四頭筋(太もも)が最強とされています。
人体の血管(動脈・静脈・毛細血管)をすべてつなぐと、総延長は約10万kmになります。これは地球を約2周半できる長さです。毛細血管は直径が約5〜10マイクロメートルと非常に細く、赤血球が1列になって通るほどです。
平均的な人間は1日約8時間眠るため、80年の生涯のうち約27年間を睡眠に費やします。睡眠中は記憶の整理・成長ホルモンの分泌・免疫機能の強化が行われます。睡眠不足が続くと認知機能の低下・肥満・心疾患リスクの上昇などが起きます。
人体の細胞1個に含まれるDNAを伸ばすと約2mになります。人体の細胞数は約37兆個なので、すべてのDNAをつなぐと約740億kmになり、太陽まで(約1億5000万km)の約500往復分に相当します。DNAは直径約2ナノメートルという極細の分子に膨大な情報が詰まっています。
2014年の研究で、人間は少なくとも1兆種類の匂いを嗅ぎ分けられることが示されました。以前は約1万種類とされていましたが、大幅に上方修正されました。嗅覚は五感の中で最も原始的で、記憶と感情に直結しています。匂いが懐かしい記憶を呼び起こすのはこのためです。
足の裏は体の中で最も汗腺の密度が高い部位の一つで、約25万個の汗腺があります。1日に約0.5リットルの汗をかくこともあります。足の汗は体温調節より、地面をしっかり掴むための滑り止めとして機能していたと考えられています。
心臓には「洞房結節」という独自のペースメーカーがあり、脳からの指令がなくても自律的に拍動できます。心臓移植の際、ドナーの心臓を体から取り出しても、適切な栄養液に浸せば数時間は拍動し続けます。これが心臓移植を可能にしている理由の一つです。
指紋は妊娠約10週目から形成が始まり、約17週目には完成します。指紋のパターンは遺伝と胎内での偶然の要因(羊水の流れなど)によって決まるため、一卵性双生児でも異なります。指紋は生涯変わらず、世界中で同じ指紋を持つ人は存在しないとされています。
脳の重さは体重の約2%(約1.4kg)に過ぎませんが、体が消費するエネルギーの約20%を使います。脳は常に活動しており、睡眠中も活発に働いています。脳のエネルギー源はほぼグルコース(糖)のみで、1日に約120gのグルコースを消費します。
耳介(耳の外側の軟骨部分)は一生涯成長し続けます。これは耳が軟骨でできており、軟骨は骨と違って成長が止まらないためです。また重力によって少しずつ垂れ下がることも、耳が大きく見える原因の一つです。高齢者の耳が大きく見えるのはこのためです。
くしゃみの際に飛び出す空気の速度は時速約160kmに達します。飛沫は最大約8m先まで飛ぶことがあります。くしゃみを無理に止めると、鼓膜の損傷・血管破裂・肋骨骨折などのリスクがあります。くしゃみは異物を鼻から排除するための反射運動です。
骨の強度は重量あたりで比較すると、鉄筋コンクリートより強いとされています。骨はコラーゲン(柔軟性)とカルシウム(硬さ)が組み合わさった複合材料で、圧縮・引張・ねじれに対して優れた耐性を持ちます。骨は生きた組織で常に作り替えられており、約10年で全身の骨が入れ替わります。
人間が感じる基本味は「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味」の5種類です。「うま味」は1908年に池田菊苗博士が昆布だしから発見し、日本語の「umami」として世界共通語になっています。「辛味」は味覚ではなく痛覚です。また「脂肪味」が6番目の基本味として研究されています。
人間は1日に約1〜1.5リットルの唾液を分泌します。唾液には消化酵素・抗菌物質・傷の治癒を促す成長因子が含まれています。唾液の分泌が減ると虫歯・口臭・嚥下困難などが起きます。食べ物を見たり匂いを嗅いだりするだけで唾液が出るのは、消化の準備をするためです。
胃液に含まれる塩酸はpH1〜2という強酸で、亜鉛などの金属を溶かすほどの強さです。なぜ胃自体が溶けないかというと、胃の内壁が粘液で覆われているからです。この粘液が失われると胃潰瘍になります。胃の粘膜細胞は約3日で入れ替わり、常に新鮮な状態を保っています。
短距離走では多くの動物に負けますが、長距離走では人間は地球上で最も優れた動物の一つです。人間は汗をかいて体温を調節できるため、炎天下でも走り続けられます。馬でさえ長距離では人間に負けることがあり、ウェールズでは毎年人間と馬のマラソン対決が行われています。
夢の内容は目覚めた後5分で約50%、10分で約90%を忘れるとされています。これは夢を見るREM睡眠中に記憶の定着に必要なノルエピネフリンが分泌されないためです。夢日記をつけると夢を覚えやすくなります。人は1晩に4〜6回夢を見ており、夢を見ない人はいないとされています。
人間の歯は乳歯と永久歯の2回しか生えません。サメのように何度も生え替わる動物と異なり、永久歯が抜けると二度と生えてきません。ただし現在、歯の再生医療の研究が進んでおり、将来的には「第3の歯」を生やす薬が実用化される可能性があります。
人体の体温は視床下部によって約36.5℃に精密に管理されています。体温が1℃上がると免疫機能が約5〜6倍活性化されます。逆に体温が35℃以下になると免疫機能が低下し、がん細胞が増殖しやすくなるとも言われています。体温調節には発汗・血管拡張・筋肉の震えなどが使われます。
人間の眼球は生まれた時から成人とほぼ同じ大きさ(直径約2.4cm)です。体の他の部位は成長とともに大きくなりますが、眼球はほとんど変わりません。赤ちゃんの顔が大人っぽく見えるのは、顔に対して目が相対的に大きいためです。これが赤ちゃんを可愛く感じる理由の一つです。
人と抱き合うと「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンはストレスを軽減し、信頼感・幸福感を高めます。効果を得るには約20秒以上のハグが必要とされています。ペットを撫でるだけでもオキシトシンが分泌されることが研究で示されています。
人間の脳は約860億個のニューロン(神経細胞)を持ち、それぞれが約1万個のシナプスで繋がっています。脳全体の演算能力は1秒間に約1000兆回とも推定されています。世界最高性能のスーパーコンピュータでも、人間の脳の全機能を完全に再現することはまだできていません。
人体は約60種類の元素で構成されています。最も多いのは酸素(約65%)、次いで炭素(約18%)、水素(約10%)、窒素(約3%)です。これら4種類で約96%を占めます。残りの約4%にカルシウム・リン・カリウム・硫黄・ナトリウムなどが含まれます。